日光は、一泊二日で回りきろうとすると、たいていどこかを削ることになる場所です。東照宮の陽明門を見上げてから、いろは坂を上がって中禅寺湖の湖畔に立ち、さらに鬼怒川の温泉街まで足を延ばす——地図の上では近くに見えても、実際には山ひとつ分の移動が挟まります。
ここでいう「日光」は、栃木県日光市という広い範囲を指します。世界遺産の社寺が並ぶ門前町、標高1,200mを超える湖のある高原、渓谷沿いに旅館が連なる温泉街、そして平家の落人伝説が残る山あいの里。それぞれ気候も雰囲気も違い、どこに泊まるかで旅の性格がはっきり変わります。
この記事では、日光エリアを四つのゾーンに分けて、見どころ・アクセス・季節ごとの表情を整理しました。あわせて、ゾーンごとに性格の異なる宿も紹介します。「どこを見たいか」より先に「どこに泊まるか」を決めたほうが、日光の旅は組み立てやすくなります。

日光は「四つの顔」を持つエリア
日光市は栃木県の北西部に広がり、その大半が日光国立公園に含まれます。日光国立公園は1934年に指定された、日本の国立公園のなかでも初期に生まれたひとつで、栃木・福島・群馬の三県にまたがっています。北関東最高峰の日光白根山(2,578m)や男体山(2,486m)といった山々を抱え、その山腹には戦場ヶ原のような湿原が点在しています。
この広さが、日光を「一言で説明しにくい場所」にしています。旅の計画を立てるときは、まず次の四つのどこを軸にするかを決めると迷いません。
| ゾーン | 代表的な場所 | 雰囲気 | 向いている旅 |
|---|---|---|---|
| 日光(山内・門前) | 東照宮、二荒山神社、輪王寺、神橋、霧降高原 | 杉木立と社寺、門前の商店街 | 歴史と建築を見たい初訪問。駅から徒歩とバスで回れる |
| 奥日光 | いろは坂、中禅寺湖、華厳滝、戦場ヶ原、湯元温泉 | 標高の高い高原。夏でも涼しい | 避暑、紅葉、自然散策。静かに数日過ごしたい人 |
| 鬼怒川・川治 | 鬼怒川温泉、川治温泉、龍王峡、テーマパーク | 渓谷沿いの温泉街 | 子ども連れ、車がなくても動きたい旅 |
| 湯西川・奥鬼怒 | 湯西川温泉、平家の里、かまくら祭 | 山深い里の温泉地 | 非日常や秘湯志向、冬の景色を目当てにする旅 |
四つすべてを一度に回ろうとすると移動だけで一日が終わります。二つに絞って、それぞれで一泊ずつするくらいが現実的です。
世界遺産の社寺が並ぶ「日光」エリア
東武日光駅・JR日光駅から西へ向かうと、二社一寺が集まる日光山内に着きます。この一帯は1999年に「日光の社寺」としてユネスコ世界遺産に登録されました。登録されているのは二荒山神社・東照宮・輪王寺の建造物103棟(うち国宝9棟・重要文化財94棟)と、それを取り巻く文化的景観です。
日光東照宮
徳川家康を祀る東照宮は元和3年(1617年)の創建で、いま目にする社殿の多くは三代将軍家光による寛永13年(1636年)の大造替によるものです。

見どころとしてよく知られるのが、彫刻で埋め尽くされた陽明門、東廻廊の眠猫、そして本地堂の鳴龍です。順路に沿って歩くだけでも1時間から1時間半は見ておきたいところで、拝観時間は4月から10月は9時から17時、11月から3月は9時から16時が目安(受付は閉門の30分前まで)。拝観料は単独拝観券で大人・高校生1,600円、小中学生550円です。宝物館とのセット券もあります。時期によって変わることがあるため、出発前に公式の案内を見ておくと安心です。
二荒山神社と輪王寺
東照宮の隣に立つ日光二荒山神社は、勝道上人によって1200年以上前に開かれたと伝わる、日光山信仰の原点です。主祭神は大己貴命で、縁結びの神様として知られています。ご神体山は男体山——つまり、この神社は奥日光の中禅寺湖まで含めた広い山域と一続きの信仰でつながっています。神苑の拝観は大人300円ほどです。
輪王寺は同じく勝道上人の開山と伝わる天台宗の三本山のひとつで、堂塔と15の支院の総称です。日光山内で最大の木造建築である三仏堂には、日光三山の本地仏にあたる三体の仏像が祀られています。三仏堂と大猷院をセットにした拝観券があり、時間に余裕があれば両方見ておきたいところです。
神橋と門前の通り

大谷川に架かる朱塗りの神橋は、二荒山神社の建造物であり、日本三大奇橋のひとつにも数えられます。勝道上人が川を渡ろうとしたとき、深沙王が放った二匹の蛇の背に山菅が生えて橋になった——という伝説が残っており、「山菅の蛇橋」とも呼ばれます。現在の橋は明治35年の洪水で流失したあと、明治37年に再建されたものです。有料で渡ることもできます。
神橋から東照宮へ向かう上鉢石町から山内にかけては、湯波料理の店や羊羹屋、土産物店が並ぶ門前の通りです。バスで社寺の入口まで行ってしまうとここを通らずに終わってしまうので、行きはバス、帰りは歩きにすると町の雰囲気まで味わえます。
霧降高原
日光市街から北東へ車で20分ほど上がると、赤薙山の斜面に霧降高原が広がります。標高はおよそ1,200m。園地には1,445段の階段「天空回廊」があり、標高差約240mを登った先に展望台があります。ニッコウキスゲの見頃は例年6月中旬から7月中旬で、この時期は斜面が黄色く染まります。
ただし、園地へのバスは冬期運休となり、車の場合も冬季はスタッドレスタイヤやチェーンが必要です。また6月から10月の雨の日とその翌日はヤマビルの被害報告が多いエリアでもあるため、足元を覆う服装で歩くことをおすすめします。
いろは坂の上に広がる「奥日光」
日光市街から中禅寺湖へ向かうには、いろは坂を上がることになります。下り専用の第一いろは坂と上り専用の第二いろは坂を合わせて48か所の急カーブがあり、いろは48文字にちなんで各カーブに「い」「ろ」「は」の看板が立っています。標高差はおよそ440m、通常なら20分ほどの道のりです。
第二いろは坂の途中には明智平があり、展望台からは第一いろは坂を見下ろす眺めが広がります。この坂を境に、気候も景色もはっきり変わります。
中禅寺湖

いろは坂を上りきると、湖面標高1,269mの中禅寺湖が現れます。周囲は約25km、最大水深は163m。およそ2万年前に男体山の噴火による溶岩が渓谷をせき止めてできた堰止湖です。
湖畔は明治以降、各国の外交官が夏を過ごす避暑地として栄えた場所でもあり、いまも大使館の別荘が残っています。遊覧船は一周およそ1時間で、船の駅中禅寺・菖蒲ヶ浜・大使館別荘記念公園・立木観音前の四か所に船着場があります。6月ごろにはクリンソウが咲く千手ヶ浜へ向かう季節便も出ますが、強風時は運休になることがあります。
華厳滝

中禅寺湖の水が流れ出す先にあるのが華厳滝です。高さおよそ97mを一気に落ちる、日本三名瀑のひとつ。1930年から運行しているエレベーターで約100m下の観瀑台まで降りると、滝つぼの間近から見上げることができます。
季節ごとの表情がはっきりしているのもこの滝の特徴で、5月の新緑、10月下旬から11月上旬の紅葉、そして1月から2月には周囲の細い滝が凍りついて全体が青白く彩られます。エレベーターは通年運行ですが、天候によって休止することもあります。
竜頭滝と戦場ヶ原

中禅寺湖からさらに奥へ進むと、竜頭滝が現れます。男体山の噴火でできた溶岩の上を約210mにわたって流れ落ちる渓流瀑で、滝つぼが大きな岩で二つに分かれる姿が竜の頭に見えることが名前の由来です。日光市内でもっとも早く紅葉が始まる場所のひとつとして知られています。

その先に広がるのが戦場ヶ原です。面積400ha、およそ350種の植物が自生する本州最大級の高層湿原で、小田代原・湯ノ湖・湯川とあわせて「奥日光の湿原」の名でラムサール条約に登録されています。男体山の神と赤城山の神が中禅寺湖をめぐって戦った——という神話が地名の由来です。
湿原を巡る自然研究路は一周およそ2時間。6月中旬から8月上旬にはワタスゲやホザキシモツケが咲き、9月下旬から10月上旬には草紅葉が湿原全体を金色に染めます。
日光湯元温泉
奥日光のいちばん奥、湯ノ湖のほとりにあるのが日光湯元温泉です。788年に勝道上人が発見したと伝わる古い湯治場で、泉質は硫化水素型の単純硫黄泉。源泉は無色透明ですが、空気に触れると乳白色、ときにエメラルドグリーンへと変わります。源泉数は19、湧出量は毎分1,788.5Lとされ、光徳温泉や中禅寺温泉へも配湯されています。
硫黄の香りがはっきりした湯を求めるなら、日光エリアではここが第一候補になります。国民保養温泉地にも指定されており、湯治場としての性格をいまも残しています。
渓谷沿いの温泉街「鬼怒川・川治」

鬼怒川温泉は江戸時代に発見された温泉で、当初は日光詣の僧侶や大名だけが入浴を許されていました。明治以降に一般開放されると、渓谷沿いに旅館やホテルが建ち並ぶ関東有数の温泉地へと発展します。泉質はアルカリ性単純温泉で、無味無臭でくせがなく、肌にやさしい湯とされています。
このエリアの強みは、駅前に宿が集まっていることです。東武鬼怒川線の鬼怒川温泉駅・鬼怒川公園駅が使え、車がなくてもチェックインまでたどり着けます。世界遺産の日光までは車でおよそ30分なので、鬼怒川に連泊して社寺と奥日光へ日帰りで通う組み立ても可能です。
子ども連れで動きやすい理由
鬼怒川周辺には、天候に左右されにくい大型施設がそろっています。東武ワールドスクウェアは1993年の開園で、22の国と地域の建造物102点を25分の1のスケールで再現したテーマパーク。園内には14万体もの人形が配置されています。
もうひとつが江戸時代の町並みを再現したEDO WONDERLAND 日光江戸村です。忍者や侍、姫への変身体験ができ、劇場での演目もあります。雨の日の予備プランを持てるのは、小さな子ども連れの旅では大きな安心材料です。営業時間や休園日、入場料は季節で変わるため、それぞれの公式案内で確認してから向かってください。
渓谷そのものを楽しむなら、鬼怒川ライン下りという選択肢もあります。舟で渓谷を下ったあと、シャトルバスで出発地点まで戻る流れです。運航は暖かい季節に限られ、天候によって左右されます。
川治温泉と龍王峡

鬼怒川温泉から北へ進むと、川治温泉があります。男鹿川と鬼怒川の合流点にある小さな温泉地で、会津西街道を行き交う旅人に親しまれてきました。泉質はアルカリ性単純泉。とくにケガに効くと言い伝えられてきた湯で、鬼怒川の大型旅館とは対照的な、静かな滞在ができるエリアです。
その二つの温泉地の間に横たわるのが龍王峡です。およそ2,200万年前の海底火山の噴出物が鬼怒川に削られてできた渓谷で、約3kmにわたって白い岩肌と青緑の水が続きます。遊歩道は全長およそ7km、通しで歩くと3〜4時間ほど。起伏が少なく歩きやすいので、宿に入る前のひと歩きにも向いています。野岩鉄道の龍王峡駅から直結しているのも便利な点です。
平家伝説が残る「湯西川」
鬼怒川からさらに山あいへ入ると、湯西川温泉に着きます。1185年の壇ノ浦の戦いに敗れた平家の落人が源氏の追っ手を逃れて住み着き、河原に湧く湯で傷を癒やした——という伝説が残る土地です。泉質はアルカリ性単純泉で、川治温泉と同じくケガに効くと言われてきました。
集落には、落人の暮らしを伝えるために茅葺きの民家を移築・再現した「平家の里」があります。吊り橋や無料の足湯、日帰り温泉がそろう「湯西川水の郷」も歩いて回れる範囲です。移動には時間がかかりますが、そのぶん人の少ない時間を過ごせます。

湯西川がもっとも知られるのは冬です。毎年1月末から3月頭にかけて開かれるかまくら祭では、沢口河川敷に無数のミニかまくらが並び、日没後に一斉に灯りがともります。平家の里や湯西川水の郷にも会場が設けられ、それぞれ入場料や点灯時間が異なります。開催日程は毎年変わるので、訪れる年の案内を確認してから予定を組んでください。
日光へのアクセス
首都圏から日光へ向かうルートは、大きく三つあります。
東武鉄道:浅草を起点に、東武日光と鬼怒川温泉の両方へ直通しています。特急スペーシアXの場合、浅草から東武日光までおよそ1時間50分、鬼怒川温泉までおよそ2時間。とうきょうスカイツリー・北千住・春日部・栃木・下今市などに停まり、定期列車は1日11本の運行です。けごん・きぬ・リバティといった特急も走っています。
JR:東北新幹線で宇都宮まで行き、JR日光線に乗り換えて日光へ向かうルートです。新幹線を使うぶん所要時間は短くなりますが、乗り換えが挟まります。
車:東北自動車道の宇都宮ICから日光宇都宮道路に入り、今市IC・日光IC・清滝ICで降ります。清滝ICから華厳滝・中禅寺湖まで約20分、戦場ヶ原まで約35分。鬼怒川温泉へは今市ICから約20分、龍王峡へは約35分が目安です。
現地での移動は東武バスが中心になります。日光山内を巡る世界遺産めぐり手形のほか、中禅寺温泉フリーパス、湯元温泉フリーパス、霧降高原フリーパスといった企画乗車券があります。フリーパスの種類・価格・販売形態は見直されることがあるため、購入前に最新の案内を確認してください。デジタル形式のフリーパスも登場しています。
紅葉の最盛期、いろは坂は通常20分ほどの道のりが2〜3時間かかることがあり、連休には6時間を超えた事例も報告されています。この時期に車で向かうなら、早朝に出発する・公共交通を使う・奥日光に宿を取って時間をずらす、のいずれかを考えておきたいところです。
季節ごとの日光の表情
春
日光の春は、二荒山神社の弥生祭から本格的に始まります。毎年4月13日から17日にかけて行われる祭りで、ツツジなどの花で飾られた11台の花家体が町を巡り、17日の本祭では全町の家体が神社に集結します。作法が厳格なことから「ごた祭り」の別名でも知られます。
標高差が大きい日光では、春の訪れる時期も場所によってずれます。市街地で桜が終わったころ、奥日光ではまだ雪が残っていることも珍しくありません。奥日光の新緑は5月から6月にかけてが見頃です。
夏
夏の日光、とくに奥日光の魅力は気温にはっきり表れます。気象庁の平年値(1991〜2020年)で比べると、次のとおりです。
| 月 | 奥日光の平均気温 | 宇都宮の平均気温 |
|---|---|---|
| 6月 | 14.0℃ | 21.2℃ |
| 7月 | 18.2℃ | 24.8℃ |
| 8月 | 18.8℃ | 26.0℃ |
| 9月 | 15.2℃ | 22.4℃ |
| 年平均 | 7.2℃ | 14.3℃ |
8月の平年平均気温で、奥日光と宇都宮の差はおよそ7℃。明治期に各国の外交官が中禅寺湖畔に別荘を構えた理由が、数字を見ると腑に落ちます。夏に訪れるなら、日中でも羽織るものを一枚持っていくと安心です。
秋

日光の紅葉が語りにくいのは、エリアによって見頃が1か月以上ずれるからです。色づきは標高の高い戦場ヶ原から始まり、少しずつ下へ降りてきます。戦場ヶ原・小田代原の草紅葉が例年9月下旬から10月上旬、湯ノ湖と竜頭滝が10月中旬ごろ、中禅寺湖畔が10月中旬から下旬、華厳滝や明智平・半月山の展望台が10月下旬から11月上旬、そして世界遺産エリアと日光市街は10月半ばから11月中旬ごろです。
つまり「日光の紅葉はいつが正解か」という問いには、見たい場所によって答えが変わります。見頃はその年の気候で前後するため、出発前に最新の紅葉情報を確認するのが確実です。
冬
奥日光の1月・2月の平年平均気温はマイナス3〜4℃台、降雪の深さの合計は平年で227cmに達します。車で向かうならスタッドレスタイヤは必須で、通行規制がかかる区間もあります。霧降高原へのバスは冬期運休です。
そのぶん、冬にしか見られない景色があります。凍りついた華厳滝、雪をかぶった湯ノ湖、そして湯西川のかまくら祭。人出が落ち着く季節でもあるので、寒さへの備えさえできていれば、静かな日光を歩ける時期です。
日光で食べたいもの
日光の食を語るうえで外せないのが湯波(ゆば)です。同じ食材でも京都の「湯葉」とは作り方が違い、京都では一重に引き上げるのに対し、日光では二枚重ねに引き上げます。そのぶん厚みと食べごたえがあり、京都で脇役になることが多いのに対して、日光では含め煮や生湯波のさしみとして料理の主役を張ります。
もともとゆばは中国から禅僧によって伝えられ、精進料理の材料として使われてきました。修験道の霊場である日光では、栄養のある湯波が修行者にとって欠かせない食べ物になった——という背景があります。門前の通りには湯波を出す店が並んでいるので、社寺を回ったあとの昼食に組み込みやすいはずです。
- 湯波料理:門前の食事処で。刺身・含め煮・そばの具など出し方はさまざま
- クラシックホテルの洋食:日光には明治期からのホテル文化が根づいている
- 囲炉裏の会席:湯西川では炭火を囲んで食べるスタイルが名物
- 川魚と山菜:山あいの宿では地の食材を使った献立が多い
- 門前の食べ歩き:羊羹や漬物など、持ち帰れる土産も揃う
日光の宿の選び方

日光の宿選びでいちばん効いてくるのは、設備や価格より先に「どのゾーンに泊まるか」です。同じ日光市内でも、社寺の門前と湯西川では車で1時間以上離れています。
次に泉質。硫黄の香る湯に浸かりたいなら奥日光の湯元、くせのない湯でゆっくりしたいなら鬼怒川や湯西川、という具合に、好みで泊まる場所が絞れます。移動手段も判断材料です。鬼怒川は駅前に宿が集まりますが、奥日光や湯西川はバスの本数が限られるため、送迎の有無を先に確認しておきたいところです。
食事のスタイルも土地ごとに得意分野が違います。そして季節。紅葉期のいろは坂の渋滞、冬の積雪と通行規制は、旅程そのものを左右します。料金や食事内容、送迎の条件は変わりやすいので、予約前に各宿の公式で最新の情報を確認してください。
エリア別・日光のおすすめ宿
日光金谷ホテル(日光エリア)

神橋のすぐ近く、社寺へ歩いていける場所に建つクラシックホテルです。創業は明治6年(1873年)で、現存する日本最古のリゾートホテルとされています。日本クラシックホテルの会に加盟し、建物は登録有形文化財。アインシュタインやリンドバーグが滞在した歴史を持ちます。
本館・新館・別館・第二新館の四棟に多様な客室があり、メインダイニングでは歴代の料理長から受け継がれてきたフランス料理を出しています。世界遺産の社寺めぐりを旅の中心に据えるなら、立地と滞在の質が両立する選択肢です。
中禅寺金谷ホテル(奥日光エリア)

中禅寺湖畔、湖面標高1,269mの高原に建つ姉妹ホテルです。特徴は温泉で、約12km離れた奥日光・湯元から引いた硫黄泉を、循環させずに使っています。露天風呂には「空ぶろ」という名前が付いています。
ダイニングでは金谷ホテル伝統のフランス料理を、別館ではカレーなどを気軽に楽しめます。避暑にも紅葉にも向いた立地で、いろは坂の渋滞を避けたい人にとっては「坂の上に泊まる」こと自体が大きな価値になります。
星野リゾート 界 鬼怒川(鬼怒川エリア)

鬼怒川温泉にある48室の温泉旅館です。客室の一部は「とちぎ民藝の間」として、益子焼・黒羽藍染・大谷石といった栃木の民藝をモダンにしつらえています。
食事は会席料理で、二つの出汁が合わさる「う鴨鍋」を名物に挙げています。器は益子焼。滞在中には「益子焼ナイト」というご当地の催しもあり、その土地の手仕事に触れる時間が組み込まれています。駅から近く、テーマパークとも組み合わせやすい立地です。
湯西川温泉 本家伴久(湯西川エリア)

創業1666年、25代を数える老舗で、湯西川温泉発祥の宿とされています。壇ノ浦に敗れた平家が永住の地に選んだ——というこの土地の物語を、いちばん濃く受け継いでいる宿と言えます。
夕食処へ向かうときに渡るのが、館の名物であるかずら橋。食事は「平家隠れ館」で炭火を囲む囲炉裏会席です。1994年には源平和睦の調印式が湯西川で行われ、その前夜祭がこの宿で開かれました。秘境の非日常を求める旅、そして冬のかまくら祭と合わせた滞在に向いています。
番外編:もっと通いたくなったら
ここまで読んで「日光は一度では足りない」と感じた方もいるかもしれません。実際、社寺・奥日光・鬼怒川・湯西川を一度の旅で味わうのは難しく、季節を変えれば同じ場所がまったく違う顔を見せます。
同じ土地に何度も通うことを前提にするなら、宿の取り方そのものを見直す考え方もあります。近年は一棟の別荘を複数人でシェアして使う「シェア別荘」型のサービスが増えており、リゾート地に自分の拠点を持つ感覚に近づける選択肢として知られるようになりました。
代表的なサービスには、サブスクリプション型で全国の拠点を使うSANU、海辺の暮らしを軸にしたUMITO、一棟の住宅を所有・シェアするNOT A HOTEL、共同所有型のFEEEP RESORTなどがあります。仕組みも費用の考え方もそれぞれ異なるため、横並びで見たい方はシェア別荘の比較記事や別荘の持ち方の整理もあわせてご覧ください。拠点の場所はサービスごとに異なり、日光エリアにあるとは限りません。
よくある質問
日光は一泊二日で回れますか?
ゾーンを絞れば十分楽しめます。世界遺産の社寺と門前だけなら一泊二日で無理なく回れますが、そこに奥日光と鬼怒川を足そうとすると移動が中心の旅になります。初めてなら「社寺+奥日光」または「鬼怒川+社寺」の二本立てがおすすめです。
車がなくても日光を旅行できますか?
できます。東武日光駅・JR日光駅からは世界遺産めぐりバスが山内を巡り、中禅寺温泉や湯元温泉へ向かう路線バスも走っています。鬼怒川温泉は駅前に宿が集まっているため、鉄道だけで完結しやすいエリアです。ただし湯西川や霧降高原はバスの本数が限られるので、時刻表と宿の送迎を先に確認してください。
紅葉はいつ行けば見られますか?
見たい場所によります。戦場ヶ原の草紅葉なら9月下旬から10月上旬、中禅寺湖畔なら10月中旬から下旬、社寺のあたりは10月半ばから11月中旬ごろが目安です。その年の気候で前後するため、出発前に最新の紅葉情報を見てから日程を確定させるのが確実です。
いろは坂の渋滞はどれくらいですか?
紅葉の最盛期には、通常20分ほどの区間に2〜3時間、連休では6時間を超えた事例も報告されています。早朝に動く、公共交通を使う、奥日光に泊まって時間帯をずらすのが現実的な対策です。
奥日光は夏でも涼しいですか?
気象庁の平年値では、8月の平均気温が奥日光18.8℃、宇都宮26.0℃です。およそ7℃の差があり、朝晩は肌寒く感じることもあります。夏でも長袖の羽織るものがあると安心です。
冬に日光を訪れるときの注意点は?
奥日光は1月・2月の平均気温がマイナス3〜4℃台で、降雪も多いエリアです。車ならスタッドレスタイヤやチェーンが必要で、通行規制がかかる区間もあります。霧降高原へのバスは冬期運休です。出発前に道路情報を確認してください。
まとめ
日光は、四つの顔を持つエリアです。世界遺産の社寺が並ぶ門前町、いろは坂の上に広がる高原、渓谷沿いの温泉街、そして平家伝説の残る山あいの里。どこに泊まるかを先に決めると、旅の輪郭がはっきりします。
初めてなら社寺と門前を中心に。夏の避暑や紅葉を目当てにするなら奥日光に。子ども連れや車を使わない旅なら鬼怒川に。静かな時間と冬の景色を求めるなら湯西川に——そんなふうに、目的から逆算して宿の場所を決めるのが日光の歩き方です。
関東にはほかにも、標高の高さを生かした高原リゾートが点在しています。栃木県内でもうひとつの選択肢を探すなら那須高原のエリアガイドを、標高の高い高原の滞在という軸で比べるなら八ヶ岳のエリアガイドもあわせてご覧ください。
なお、この記事に記載した拝観時間・料金・所要時間・見頃の時期などは、変更されることがあります。おでかけ前に、各施設の公式案内で最新の情報をご確認ください。


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