首都圏から日帰りもできる距離にありながら、山あいに二十を超える温泉が点在し、芦ノ湖越しに富士山を望む——箱根は「はじめての温泉旅行」から「記念日の特別な一泊」まで、幅広い過ごし方を受け止めてくれるエリアです。噴煙の立ちのぼる大涌谷、湖上にせり出す朱の鳥居、庭園に彫刻がならぶ美術館と、見どころの表情もじつに多彩です。
一方で、箱根は湯本・強羅・仙石原・芦ノ湖畔といった地区ごとに雰囲気も泉質も大きく変わるため、「どこに泊まればいいのか分かりにくい」という声もよく聞きます。食べ歩きの拠点にしたいのか、静かに湯宿でこもりたいのか、富士山と湖の眺めを楽しみたいのか——目的によっておすすめの拠点は変わってきます。
この記事では、箱根のエリアとしての魅力を整理したうえで、代表的な見どころ、アクセス、季節ごとの楽しみ方、そして目的別の宿の選び方をまとめました。後半では実在するおすすめ宿を3軒紹介し、さらに番外編として「泊まる」以外の選択肢——別荘という過ごし方についても、中立の立場で触れていきます。

箱根エリアの全体像
箱根は神奈川県西部、富士箱根伊豆国立公園の一角に広がる山岳温泉リゾートです。箱根火山がつくったカルデラ地形のなかに、玄関口の箱根湯本から、標高の高い強羅・仙石原、そして芦ノ湖畔まで、性格の異なる地区が連なります。電車・ケーブルカー・ロープウェイ・海賊船・バスを乗り継いで周遊できるのが箱根ならではの楽しみで、この一周は「箱根ゴールデンコース」とも呼ばれます。
まずは、代表的な地区の雰囲気をざっくり整理してみましょう。
| 地区 | 雰囲気・向いている過ごし方 |
|---|---|
| 箱根湯本 | 玄関口の温泉街。土産店・甘味処が集まり、食べ歩きや日帰り湯の拠点に |
| 宮ノ下・強羅 | 登山電車沿いのレトロな温泉地。美術館めぐりや落ち着いた湯宿滞在に |
| 仙石原 | 高原のリゾート地。すすき草原と美術館、静かな別荘地の雰囲気 |
| 大涌谷 | 噴煙立ちのぼる火山景観。黒たまごとロープウェイからの眺め |
| 芦ノ湖畔(元箱根・桃源台) | 湖と富士山の眺望、箱根神社・平和の鳥居。遊覧船の発着地 |
このように、同じ「箱根」でも地区によって過ごし方はまったく変わります。周遊で複数エリアを楽しむのか、ひとつの湯宿にこもるのか——旅のスタイルを先に決めておくと、宿選びがぐっとラクになります。
温泉そのものにも歴史があります。箱根は江戸期に湯治場として知られた「箱根七湯」を核に、現在は「箱根二十湯」とも呼ばれる多彩な温泉が点在する湯の里です。湯本の単純温泉・塩化物泉から、大涌谷・仙石原の白濁した硫黄・酸性泉まで、地区ごとに泉質が異なるため、複数の湯を楽しむ「湯めぐり」が似合うのも箱根ならではです。なお七湯・二十湯の呼称や地区別の泉質表現は資料により差があるため、詳しく知りたい場合は箱根町観光協会などの公式情報も参考にしてみてください。
箱根で訪れたい見どころ
大涌谷|噴煙立ちのぼる火山景観と黒たまご
大涌谷は、約3,000年前の箱根火山(神山)の水蒸気爆発でできた爆裂火口跡です。今も硫黄の匂いとともに噴気が立ちこめ、荒々しい山肌が箱根の成り立ちを物語ります。ロープウェイでアクセスでき、晴天時には展望から富士山も望めます。地熱と火山ガスの温泉池でゆでる名物「黒たまご」は、大涌谷を代表するご当地グルメです。

なお、大涌谷は火山活動の状況によって、立入やロープウェイの運行が規制される場合があります。訪れる前に最新の運行・規制情報を確認しておくと安心です。
芦ノ湖・平和の鳥居|湖上に立つ朱の鳥居と富士山
芦ノ湖は、箱根火山のカルデラ内にできた神奈川県最大の湖です。晴れた日は湖越しに富士山を望み、湖上には観光船「箱根海賊船」が運航します。なかでも人気のフォトスポットが、箱根神社の「平和の鳥居」——芦ノ湖畔・元箱根に、湖へせり出して立つ朱塗りの鳥居です。富士山や湖を背にした構図が美しく、箱根随一の撮影スポットとして知られています。
遊覧の海賊船から眺める芦ノ湖もまた格別で、湖上からは平和の鳥居や周囲の山並みをゆったりと楽しめます。
箱根神社・九頭龍神社|武将が崇敬した関東屈指の古社
芦ノ湖畔・元箱根に鎮座する箱根神社は、関東屈指の古社です。源頼朝や徳川家康など、名だたる武将の崇敬を集めた歴史を持ち、境内の杉並木が厳かな雰囲気を漂わせます。近年は、芦ノ湖の九頭龍神社と併せて参拝する人も多く見られます。

美術館と仙石原|アートと高原の草原さんぽ
箱根は美術館の多いエリアとしても知られます。強羅の彫刻の森美術館は1969年開館の日本初の野外美術館で、広い庭園にロダンらの彫刻を配し、ピカソ館や足湯もあって子連れでも楽しみやすい場所です。仙石原方面には、印象派を中心に西洋近代絵画を収蔵するポーラ美術館や、箱根ガラスの森美術館なども点在します。
仙石原の高原に広がるすすき草原は、秋(例年9〜11月頃)に一面が黄金色に染まり、散策路から穂波を楽しめます。アートと自然を組み合わせて、のんびり過ごせるのが強羅・仙石原エリアの魅力です。
食の楽しみも忘れられません。大涌谷の黒たまごのほか、そば・湯葉・豆腐料理など温泉地らしい和の食が箱根には揃います。宮ノ下・強羅・湯本には老舗の甘味処やベーカリーもあり、寄木細工の器で供される甘味など、土地ならではの一品に出会えます。周遊の途中で、地区ごとの食べ歩きを楽しむのもおすすめです。
箱根へのアクセス
箱根の玄関口は箱根湯本駅です。新宿からは小田急ロマンスカーで箱根湯本まで直通、約85分が目安で、そこから箱根登山電車やバスで各温泉地へ向かいます。在来線・新幹線を使う場合は、JR・小田急で小田原駅まで行き、箱根登山電車に乗り換えるルートが便利です。
車の場合は、東名高速・厚木ICから小田原厚木道路を経由するか、御殿場IC方面から仙石原・芦ノ湖方面へアクセスできます。エリア内の周遊には、箱根登山電車・ケーブルカー・ロープウェイ・海賊船・登山バスなどが一定範囲で乗り放題になる小田急「箱根フリーパス」も選択肢です。対象交通や料金・有効日数は改定され得るため、利用前に公式で最新情報を確認しておきましょう。
季節ごとの箱根の楽しみ方
箱根は四季で表情が変わります。春は芦ノ湖畔や仙石原の新緑、6〜7月頃は箱根登山鉄道沿線のあじさい、秋は仙石原のすすき草原と山々の紅葉、そして冬は空気が澄んで富士山がくっきりと見える日が増える——と、どの季節にもそれぞれの良さがあります。
紅葉やすすきの見頃は年によって前後します。目当ての景色がある場合は、旅行前に観光公式サイトで見頃の目安を確認しておくと、タイミングを外しにくくなります。
目的別・箱根の宿の選び方
箱根は宿の選択肢が非常に多いエリアです。だからこそ、いくつかの軸で候補を絞ると決めやすくなります。次のチェックリストを、宿探しの出発点にしてみてください。
- 拠点エリアで選ぶ:食べ歩き重視なら箱根湯本、静けさと美術館なら強羅・仙石原、富士山と湖の眺めなら芦ノ湖畔。
- 温泉・露天で選ぶ:客室露天や絶景大浴場を重視するなら、湯本の大型温泉宿や強羅・仙石原の露天付き客室が候補。地区ごとに泉質が異なるので湯めぐりも一案。
- 過ごす人数・スタイルで選ぶ:グループや多人数、ペット同伴、プライベート重視なら一棟貸しタイプも視野に。
- 記念日かどうかで選ぶ:誕生日や記念日には、強羅・芦ノ湖畔の高級旅館やオーベルジュ系で特別感を。
料金やプランの内容は時期によって変わります。気になる宿が見つかったら、条件や設備は各宿の公式サイトで最新情報を確認してから予約するのがおすすめです。
箱根のおすすめ宿3軒
ここでは、エリアや過ごし方の異なる実在の宿を3軒紹介します。いずれも設備や料金は変わり得るため、詳細は公式サイトでご確認ください。
箱根・芦ノ湖 はなをり|芦ノ湖畔の温泉リゾート

元箱根・桃源台の芦ノ湖畔に立つ温泉リゾート。水盤テラスのフォトスポットや、客室露天風呂付きタイプ、和洋ビュッフェが人気です。芦ノ湖畔という立地を生かし、湖と自然の眺めを楽しみながら過ごせるのが魅力で、ファミリーやグループにも向いています。
小田急 山のホテル|芦ノ湖を見下ろすクラシックホテル

芦ノ湖畔の高台に立つクラシックホテル。つつじ・しゃくなげの庭園が有名で、芦ノ湖と富士山の眺望、フレンチレストランなどを楽しめます。庭園の花の見頃には特別な景色が広がることもあり、記念日の滞在にも似合う落ち着いた一軒です。
強羅花壇|旧宮家別邸跡地に立つ高級旅館

強羅温泉にある、旧閑院宮別邸跡地に立つ高級旅館。富士箱根伊豆国立公園内という恵まれた立地で、静かな滞在が叶います。記念日や特別な旅に向けた、静かで上質な滞在を求める方に向いています。なお、箱根湯本エリアで大型温泉ホテルを探すなら、約17mの天空大露天風呂で知られる「天成園」なども候補になります。
番外編|「泊まる」以外の選択肢としての別荘
ここまで宿を中心に紹介してきましたが、箱根のように何度も通いたくなるエリアでは、「泊まる」以外の過ごし方も選択肢に入ってきます。そのひとつが、別荘やそれに近い滞在拠点を持つという考え方です。
近年は、別荘を「所有」するのではなく、複数人で「シェア」して使う会員制のサービスも増えてきました。代表的なものに、自然のなかの拠点を会員が使えるSANU、海辺の暮らしを提案するUMITO、洗練された空間を貸し切れるNOT A HOTEL、1口から始められる会員制シェア別荘のFEEEP RESORTなどがあります。
それぞれ拠点のエリアやコンセプト、費用の考え方が異なります。箱根そのものに拠点があるかどうかも含め、気になるサービスは公式情報で最新の展開エリアを確認するのが確実です。仕組みの違いを整理したい場合はシェア別荘サービスの比較や、別荘の持ち方の選択肢もあわせてご覧ください。
たとえば「箱根には毎年通うけれど、そのたびに宿を探すのが大変」という方や、家族・仲間とまとまった時間を過ごしたいという方にとっては、拠点を持つという発想が旅の負担を軽くしてくれることもあります。所有・シェア・会員制と形はさまざまで、費用や使い方の考え方も一つひとつ違うため、まずは仕組みを知るところから始めるのがおすすめです。
宿に泊まるのか、拠点を持つのか。どちらが正解ということはなく、通う頻度やライフスタイルによって心地よい形は変わります。まずは箱根に何度か足を運びながら、自分に合った関わり方を探してみるのがよいでしょう。
よくある質問(箱根エリア)
Q. 箱根はどのエリアに泊まるのがおすすめですか?
目的によります。食べ歩きやアクセス重視なら箱根湯本、美術館と静けさなら強羅・仙石原、富士山と湖の眺めを楽しむなら芦ノ湖畔がおすすめです。周遊するなら、交通の乗り継ぎがしやすい拠点を選ぶと動きやすくなります。
Q. 箱根は日帰りでも楽しめますか?
はい。新宿から箱根湯本まで直通で約85分が目安のため、日帰りでも十分楽しめます。ただし大涌谷・芦ノ湖・美術館などを一日で回ろうとすると忙しくなりがちなので、行き先を絞るか、一泊してゆったり周遊するのもおすすめです。
Q. 大涌谷はいつでも行けますか?
火山活動の状況によって、立入やロープウェイの運行が規制される場合があります。訪れる前に、最新の運行・規制情報を公式で確認しておくと安心です。
Q. 車と電車、どちらが便利ですか?
周遊メインなら、箱根フリーパスを使った電車・ケーブルカー・ロープウェイ・海賊船の乗り継ぎが便利です。仙石原や芦ノ湖畔を拠点に広く動きたい場合や、荷物が多い場合は車も選択肢になります。
Q. 温泉の泉質は場所で違いますか?
はい。湯本の単純温泉・塩化物泉から、大涌谷・仙石原の白濁した硫黄・酸性泉まで、地区ごとに泉質が異なります。湯めぐりを楽しむのも箱根ならではの過ごし方です。
Q. ペットと泊まれる宿はありますか?
ペット同伴可の宿や、一棟貸しタイプの施設もあります。受け入れ条件は施設ごとに異なるため、予約前に各施設の公式情報で確認してください。
まとめ
箱根は、温泉・芦ノ湖と富士山・美術館・火山景観と、ひとつのエリアで何通りもの過ごし方ができる稀有な場所です。地区ごとに雰囲気が変わるからこそ、旅のスタイルに合わせて拠点を選ぶことで、満足度は大きく変わります。何度も通いたくなったら、宿だけでなく「拠点を持つ」という選択肢も、気軽に情報を集めてみてください。
シェア別荘という過ごし方をもう少し知りたい方は、シェア別荘サービスの比較や別荘の持ち方の選択肢もあわせてどうぞ。


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